職場と家のあわいに、気仙沼の炭火 ─ 奥沢6-31-18、料理長 内海竜也の炉端
自由が丘駅南口から奥沢の方角へ、5分ほど歩いた先。「ロ・カーサ自由が丘」の1階に、炭火が焚かれている店がある。「旬炉 あわい」。店名の「あわい」は、漢字の「間」に由来する。
南口から、奥沢の方角へ
自由が丘駅の南口を出て、奥沢の方角へ歩き始める。マリ・クレール通りの賑わいはすぐ後ろに置いていく。5分ほど歩いた先、「ロ・カーサ自由が丘」の1階に、炭火が焚かれている店がある。
「旬炉 あわい」。読み方は、シュンロ アワイ。看板は控えめで、通り沿いにあるのに、視線が止まらないと通り過ぎてしまう距離感で立っている。
店名の「あわい」は、漢字の「間」に由来する。職場から自宅へ帰る、その「間 (あわい)」に立ち寄って疲れを癒してほしい ─ 料理長がそう名付けたと、公式に書かれている。駅から徒歩5分、住宅街の入り口の、ちょうどそういう位置。名前と場所が、静かに合っている。
カウンターの向こう、気仙沼から
料理長は、内海竜也。1972年、宮城県気仙沼の生まれ。漁師の家に育った、と紹介ページにある。
幼い頃から、新鮮な魚に囲まれて育った。26歳で日本料理の道に入り、31歳で前身店の料理長に就任した。「あわい」という屋号は、その前身店から続いている。前身は「間 (あわい) 自由が丘」。屋号の「間」の字を、平仮名にひらいて、炭火の「旬炉」を頭に添えた。それが今の店の名前だ。
「料理に近道はない」。内海料理長がカウンター越しに語る言葉のひとつとして、そう記されている。素材のこと、火の入れ方のこと、産地のこと。客が箸を動かす前に、皿の上で起きていることを、ひとつずつ説明する姿勢。カウンター席が主体で、厨房に面している。シェフの手元が、そのまま見える設計だ。
三陸の魚と、川俣シャモの串と
炭火の上にのるのは、三陸から直送される鮮魚。朝採れの野菜。精米したての米。素材ごとに、産地の話がついてくる。
看板の一つに、川俣シャモの串焼きがある。10年以上、この店で焼かれ続けている。福島県川俣町のシャモ。東北の食材が、この店の棚と俎板と炭火に、ずっと並んできた。気仙沼出身の料理長が、東北の食材を積極的に使い続けることで、被災地を応援する活動を続けている ─ その姿勢が、公式ページと料理人紹介の両方に、明記されている。
土鍋炊きの炊き込みご飯。自家製の干物。季節の野菜。利酒師の資格を持つスタッフが、日本酒を一杯ずつ合わせて出してくれる。ディナーの平均予算は6,000〜7,999円、お通しが660円。カウンター35席、宴会でも6人まで。大きな宴のための店ではなく、二人か三人で静かに炭火を囲む、そういう店として設計されている。小学生未満は入店できない、と食べログの店舗情報にある。子連れの店ではないという、明確な線。
水曜と、第1・第3火曜が休む
営業は、月・火・木曜から日曜・祝日の、夕方4時から夜11時まで。ラストオーダーは10時。定休は水曜と、第1・第3火曜。
週の真ん中で扉が閉まって、木曜からまた炭が起きる。第2週と第4週の火曜は開いていて、第1週と第3週の火曜は休む。少しだけ、覚えるのに手間がいるリズム。訪れる前に、公式の暦を一度確かめておくのがいい。
また、疲れた夕方の光の時間に
奥沢6-31-18。駅から5分。「間 (あわい)」という名前の炭火が、住宅街の入り口で焚かれている。
気仙沼から来た料理長が、三陸の魚をのせて、10年以上、川俣シャモの串を焼いている。カウンター越しに、素材の話を聞きながら、日本酒を一杯だけ頼む。そういう時間のために、この店は名付けられているのだと思う。
教えたい気持ちと、そっとしておきたい気持ちが、半分ずつある。
また、少し疲れた夕方の光の時間に、あの「間」の暖簾をくぐりに行こう。
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