竣工から17日、開業まで17日 — 駅前の建物は"完成"の側へ移った
駅正面口を出て青いフェンス越しに見上げてきた建物が、7月31日に竣工した。延床約46,000㎡、地上15階・地下3階、高さ約60m。170戸の住宅には8月1日からもう人が住み始めていて、1〜5階の商業施設59店舗が開業するのは9月17日。予告から完成、そして開業前夜へ、街の物理変化は段階を一つ進めた。
7月31日、“予告”が”完成”に移った日
竣工は7月31日。翌週の8月6日には現場で祝賀会が開かれ、そこから約3週間経った8月末にプレスリリースと報道が出た。竣工から公表まで1か月弱の間があった格好で、その間に建物本体はすでに使われ始めている。
住宅170戸への入居開始は8月1日。竣工の翌日には、新しい住人がこの建物で朝を迎え始めていたことになる。商業とオフィスが眠っている7〜8月の駅前で、高層階の窓だけがぽつぽつと灯りを持ち始めていた。開業カレンダーだけを追っていると見落としがちだが、街の生活面では、この建物はもう静かに動き出している。
建物の骨格 — 46,000㎡、60m、15階
公表された諸元は具体的だ。敷地面積は約4,000㎡、そこに延床約46,000㎡を積み上げている。地上15階、地下3階、高さは約60m。低層に商業、中層にオフィス、高層に住宅、という縦割り構造で、駐車場70台、駐輪場360台を備える。
商業フロアは1〜5階と地下1階の合計、店舗面積約1万1000㎡に59店舗。この店舗数と面積の内訳は7月〜8月の別報道で段階的に開示されてきたが、建物本体の総容量が公式に数字で出たのは今回の竣工発表が最初になる。
オフィスの中層階には、6階にみずほ銀行グループが入居する。5階には子育て・教育の複合拠点「こどもでぱーと 自由が丘」。商業のアンカーは高級スーパー「明治屋 自由が丘ストアー」と、CCC展開の「SHARE LOUNGE 自由が丘/STARBUCKS」の2つ。既存の街の名前としては「自由が丘 モンブラン」「そば処 自由が丘 薮伊豆」「自由が丘一誠堂」が新装で移る。
設計・監理は久米設計、施工は鹿島建設。2023年11月に着工して、約2年8か月で竣工まで走った。
建物の外側も、少しだけ変わっている
駅正面口を出てすぐの、あの一角。建物本体だけでなく街の基盤側にも工事が入っていた。電線共同溝の整備による無電柱化と、地域共同荷捌き場4台の設置。前者は視界の話、後者は日々の物流の話で、どちらも竣工と一緒に完了する種類の整備だ。
無電柱化された空を、正面口の交差点から見上げるとどう見えるのか。荷捌き場が集約されたことで、朝の搬入トラックがどこに寄るのか。このあたりは開業後に歩いてみないと分からない。ただ、この2つが竣工と同時に入ったという事実は、街のこの一角の基盤が一段整理されたことを意味する。
駅から約100年、“街の広がりを生み出す起点”
再開発組合の理事長は、今回の発表で「駅誕生から約100年を迎えるタイミング」での街の魅力再構築プロジェクトと位置付け、この建物を「街の広がりを生み出す起点」にしたい、と語っている。施設名の「MUSE」は駅前広場のあの女神像に由来する。
100年という数字を持ち出されると、少し立ち止まる。自由が丘という駅名がついてから約1世紀、その節目の年に、駅の正面口の建物が一新される。この符合を計算で狙ったのか、たまたま重なったのかは公表資料からは読み取れないが、街の時間軸の中でこの2026年がひとつの結節点になっているのは確かだ。
9月17日、あと17日
竣工から17日、開業まで17日。ちょうど折り返しの位置に9月1日がある。青いフェンスの内側で組み上がっていた建物は、もう物理的には出来上がっていて、170戸の住宅には人がいる。あとは59店舗の扉が9月17日に一斉に開くのを待つだけ、という状態だ。
予告 → 完成 → 開業前夜。段階が一つ進んだ駅前を、9月17日にもう一度歩きに行く。