「駅から5分の江戸、駅から5分の来週 ─ 奥澤神社の大蛇と、9月17日のあいだで」
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イベント 奥澤神社 読 2分

「駅から5分の江戸、駅から5分の来週 ─ 奥澤神社の大蛇と、9月17日のあいだで」

9月13日(日)15時、奥澤神社の境内に6基の神輿が集まる。「奥澤睦連合宮入り」と呼ばれるこの時刻が、二日間の例大祭の頂点にあたる。 自由が丘駅南口から徒歩5分。江戸中期に始まり、平成28年に東京都無形民俗文化財となった神事の、明日の午後のこと。

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明日15時、境内に6基の神輿が集まる

9月13日(日)。奥澤神社の例大祭は二日目、本宮の日を迎える。

11時に子供神輿と山車が出て、14時に大人神輿が神社を出発。15時、6基の神輿連合が境内に戻る。「奥澤睦連合宮入り」と呼ばれる時間で、二日間の頂点にあたる時刻だ。

場所は奥沢5-22-1。自由が丘駅南口を出て、線路沿いを南東へ5〜6分歩けば着く。奥沢駅からなら2〜3分。徒歩10分弱の街のなかに、150キロの藁の大蛇と、江戸中期の伝承と、都指定の無形民俗文化財がある。

藁で編まれた10メートル、150キロ

今朝、その大蛇が神社を出た。

10時20分から、出座。藁で編まれた全長約10メートル、重さ約150キロ。担ぎ手は十数人。神主に先導され、氏子が交代で担ぎながら奥沢の町を粛々と練り歩き、12時30分頃に宮入りした。

由来は江戸中期。世田谷区の記録によれば、奥沢の村に疫病が流行った折、名主の夢枕に八幡大神が立ち、「藁で作った大蛇を村人が担ぎ、村内を巡行させるとよい」と告げた ─ そう記されている。以来、奥澤神社の例大祭に合わせてこの神事が続いてきた。

平成28年3月11日、東京都指定無形民俗文化財 (風俗慣習) に指定された。10年前、この街の祭りが正式に「都の民俗文化財」となっている。日々自由が丘駅を通り抜けているだけでは、気づきにくい事実である。

新調された大蛇は、神主に先導されて各町内の氏子に交代で担がれる。お練りを終えたのち、大蛇は神社の本殿に納められ、以後1年間、そこで祀られる。

大蛇の通り道と、明日の時刻表

大蛇のルートは、奥澤神社を起点に南へ足を延ばし、各町内を巡回する。

出発は奥澤神社。まず北へ向かって緑が丘方面へ。折り返して奥沢から九品仏方面へ進み、目黒線と東横線の踏切を渡って九品仏駅前まで足を延ばす。環八通りまで出てから、軽トラックに乗せられて神社に戻る。

「共栄睦」の大蛇神輿は、「大蛇通り」と呼ばれる通り沿いを中心に渡御する ─ 街に「大蛇通り」という名の道があること自体が、この神事が生活の風景に溶け込んできた証しでもある。

例大祭は昨日から動き出している。

12日(土) 宵宮。10時20分から大蛇お練り。昼は商店街のちびっ子ゲーム。午後に子供神輿と山車。18時以降、大人神輿が町を巡行する ─ この記事が世に出るいまごろ、境内と沿道には担ぎ手の声が響いている頃合いだ。

13日(日) 本宮。

  • 11時 ─ 子供神輿と山車
  • 14時 ─ 大人神輿が出発
  • 15時 ─ 6基の奥澤睦連合宮入り
  • 境内には露店・屋台。周辺の各商店街ではゲームや縁日も催される

案内の中心に据えられているのは15時の連合宮入。氏子の連合体が、境内という一点に神輿を集めていく時間である。

駅から5分の江戸、駅から5分の来週

歩いて5分の距離に、いま二つの時間が重なっている。

ひとつは、いま境内で担がれている大蛇と神輿。江戸中期に始まり、都の無形民俗文化財として続いてきた、300年近い時間の側だ。

もうひとつは、駅の反対側。9月17日(木)、地上15階・地下3階、59店舗の「JIYUGAOKA MUSE SQUARE」が開業する。明治屋、SHARE LOUNGE、STARBUCKS、モンブラン発祥の店 ─ 名前が並ぶ来週の街の側だ。

同じ「駅から5分」に、300年と5日が並んでいる。片方は明日15時にひとつの頂点を迎え、片方は5日後の朝に扉を開ける。街の時計は、それぞれの速度で回っている。

明日の午後、静かに歩く

明日、奥澤神社に向かうなら、自由が丘駅南口からまっすぐ線路沿いに南東へ。徒歩5〜6分。奥沢駅からなら踏切のあるほうへ2〜3分。

11時、14時、15時 ─ この三つの時刻を目印に、境内と町内を氏子の神輿が静かに動く。屋台のある境内で少し立ち止まってから、次の掛け声が聞こえるほうへ歩き出す ─ そうした午後の過ごし方が、この祭りには似合う。

大蛇はもう本殿のなかにある。掛け声は明日また、奥沢の町に戻ってくる。