九品仏に高い建物が立たない理由の一つ、「風致地区」を数字で確かめる
9月27日、東洋経済オンラインが九品仏に「タワマンが立たない理由」を挙げた。その一つ目、1933年指定の「多摩川風致地区」の決まりを、都と区の資料の数字で確かめた。
緑道の先の、低い街並み
9月27日の朝、東洋経済オンラインが九品仏を取り上げ、「タワマンが立たない理由」を四つ挙げた。記事は、浄真寺付近から九品仏川緑道を歩くと低層の住宅が並ぶ景色が続き、自由が丘に近づくと店舗が増えてくる、と街の姿を描いている。一つ目が、1933(昭和8)年に指定された「多摩川風致地区」。記事は、この風致地区に浄真寺とその周辺が含まれていると書いている。
ほかの三つについて、東洋経済は、駅の近くを走る等々力通りが片側一車線で交通量の多い幹線道路ではないこと、商業地の自由が丘まで歩いて5分くらいの距離にあること、そしておよそ100年前から始まった耕地整理で街区が整えられ、再開発のきっかけになるような危険性を抱えていないことを挙げる。比べる相手として出てくるのは、同じ区内で再開発が行われた三軒茶屋と二子玉川だ。
気になったのは一つ目のほう。「風致地区」は、実際にはどんな数字の決まりなのか。
都の一覧に載る、1,182.6ヘクタール
風致地区は、自然的な景観を維持するために都市計画法で定められた地域地区のこと。都の一覧を開くと、区部には14か所があり、「多摩川」はそのうちの一つとして載っている。位置は「大田区及び世田谷区の一部」、面積は1,182.6ヘクタール。区のページは、その範囲を「主に世田谷区の南の地域、国分寺崖線から多摩川までの区域」と説明している。
最初の告示は昭和8年1月24日で、施行は同年2月7日。最後の告示は昭和46年12月1日となっている。
目を引くのは内訳だ。第一種風致地区が9.50ヘクタール、第二種風致地区が1,173.10ヘクタール。多摩川風致地区の全体で見ると、約99%が第二種ということになる。
10メートルか、15メートルか
では、その種別で何が変わるのか。区が示す建築物の許可基準はこうだ。
| 地域 | 建蔽率 | 建築物の高さ | 壁面後退距離(道路側) |
|---|---|---|---|
| 第一種風致地区 | 20%以下 | 10メートル以下 | 3メートル以上 |
| 第二種風致地区 | 40%以下 | 15メートル以下 | 2メートル以上 |
第一種なら10メートル、第二種なら15メートルが高さの上限になる。ただし区のページには、風致地区内の地域区分(A・B・C・D・Sの各地域)に応じて、この基準が条件付きで緩和される場合があるとも書かれている。
正直に書いておくと、九品仏駅のまわりや浄真寺の周辺の一つひとつの場所が第一種なのか第二種なのかは、今回の資料からは確かめきれなかった。だから「九品仏は15メートルまで」とは言い切れない。言えるのは、条件付きの上限がこの二つの数字だ、というところまで。
緑道の反対側、自由が丘駅前の JIYUGAOKA MUSE SQUARE は、再開発組合の発表で地上15階・地下3階、高さ約60メートル。10と15という数字を眺めたあとだと、約60メートルはずいぶん遠い数字に見える。
自分の足元を確かめる
どこが風致地区に入っているかは、世田谷区都市計画図で確かめられると区のページにある。相談の窓口は玉川総合支所の街づくり課。
次に浄真寺から緑道を歩く前に、一度その地図を開いて、自分の歩く道がどちらの種別に入るのか見ておこうと思う。
訂正 (2026-10-12)
公開時、東洋経済オンラインが九品仏に「タワマンが立たない理由」を「三つ挙げた」と書いていました。原記事は「大きく4つ」と分析しており、4つ目は耕地整理で整えられた街区です。本文を訂正し、4つ目の理由を加えました。あわせて、配信元の Yahoo!ニュースの URL が開けなくなっていたため、出典を東洋経済オンラインの記事に差し替えました。