九品仏川緑道の角地に、18年 — Eckepunkt、名前どおりの白い一軒家
九品仏川緑道を奥沢方向に歩くと、道が角に折れる場所に、白い一軒家が立っている。店名は Eckepunkt。ドイツ語で「角地」を意味する言葉。2008年に開いて18年、2019年に九品仏駅前の姉妹店が加わり、2020年6月からは完全予約制で運営されている。
緑道が角に折れる場所
九品仏川緑道を、自由が丘駅の南口から奥沢方向へ歩く。石張りの道がゆるやかにカーブしていく、あの緑道。駅から8分ほど進んだあたりで、道が角に折れる場所に出る。
その角地に、白い一軒家が立っている。
看板は目立たない。扉の脇に、Eckepunkt と静かに記されている。ドイツ語で「角地」を意味する言葉、と公式サイトに書かれている。名前が、そのまま立地の説明になっている店だ。
1階に器、2階に衣服
扉の向こうは二層に分かれている。
1階に、現代の作家の器と生活雑貨。2階には、HENTECO というブランドの衣服が並んでいる。
公式サイトには「ここでしか出会えない一点物の作家作品を中心に個性ある日本の作家をご紹介する」とある。用途のわからない謎のアイテムも扱っている、とも記されている。既製の量産品ではなく、作家一人ひとりの手から出てきたものが、白い一軒家の中に並んでいる。
棚には、岐阜の村上雄一の平皿や鉢、大阪の翁再生硝子工房のアップサイクルのワイングラス、福岡のコンガリ舎、静岡の鈴木敬子、愛知の増山文、といった作家の仕事が並ぶ。企画展と個展が毎月切り替わる。ひとつの棚が、月ごとに違う顔をしている。
18年、7年、6年
この店には三つの時間軸がある。
自由が丘のこの角地に開いたのが2008年。18年前。九品仏駅から徒歩1分の浄真寺の参道横に姉妹店を加えたのが2019年。7年前。そして、両店とも事前予約制の運営に切り替えたのが2020年6月。6年前。
18年の店が、6年前に運営の形を変えた。ふらりと扉を引く場所ではなくなり、あらかじめ公式サイトから予約を入れてから訪れる場所になった。公式サイトには、2020年6月から事前予約制で営業している、と記されている。
角地の白い一軒家に、静かに時間が流れる仕組みが敷かれている。
二つの店、二つの通り
自由が丘店は九品仏川緑道沿いの角地に、九品仏店は浄真寺の参道横に。自由が丘店は閑静な住宅街の緑道沿いに、九品仏店は浄真寺の参道脇に。どちらも、緑のある静かな通りを選んでいる。
自由が丘店が作家の器と生活雑貨、九品仏店が主に衣類とアクセサリー。同じ運営で、扱うものが分けられている。歩いて2つの店を回れる距離にありながら、それぞれの通りの空気に合わせて、棚の中身が違う。
九品仏川緑道は1974年に暗渠化された旧九品仏川の跡地で、今年で52年目になる。その緑道の角地に、白い一軒家が18年、佇み続けている。緑道の年齢の3分の1を、この店が並走してきたことになる。
角に折れる場所で
九品仏川緑道の石張りの道が、角に折れる。その折れ目の内側に、Eckepunkt の白い一軒家がある。
事前に予約を入れて、13時から18時のあいだ、自分の枠で扉を引く。棚の器も、2階の衣服も、そういう手順を経て初めて見ることになる。
緑道を奥沢方向に歩く日、あの角地に、また少しだけ長く目が留まる。18年、同じ場所で、同じ静けさを保ってきた白い一軒家。