nu cafe — 18年、ミシンの音と一杯のコーヒーが同居する裏路地
自由が丘の大通りから一本入った住宅街の裏路地。同じ建物の中で、片側ではミシンが回り、片側ではコーヒーが淹れられる。2008年に始まり、18年が経った二刀流の店がある。
扉の手前で、ミシンの音
大通りを一本外れる。住宅街の裏路地に入ると、人通りはすっと薄くなる。看板を探す前に、ミシンの規則的な音が耳に届く。
扉を開けると、片側に職人の作業台がある。アイロンが置かれていて、その向こうに服が掛かっている。もう片側はカウンターで、コーヒーが淹れられている。
同じ建物の中に、お直しの店とカフェバーが、同居していた。
2008年から、18年
時系列を少しだけたどる。
nu cafe は 2008 年、デザイン会社を経営していた先代オーナーが開いた。お直し職人の髙畠海さんは、その創業時からこの店でミシンを踏み続けている。大学院まで進んで服作りを学んだ人で、服のリメイクに関する著書もある。
2021 年、店主が中島將さんに替わった。中島さんは 2015 年からこの店で働いていて、飲食業界の経験が長い。先代から事業を引き継いだ形だ。
オーナーは替わったが、ミシンは止まらなかった。コンセプトは「生活文化の創造」。お直しとカフェ、両方を 18 年続けてきた。
繊研新聞の取材で、髙畠さんはこう答えている。
「基礎から服作りを学んだので、柔軟に対応できる。必要なら仮縫いまでする」
デザイナーの癖まで考慮してサイズを直す。職人ひとりで一貫して見るから、預ける側の安心につながる。そう書かれていた。
食事のついでに、お直しの相談
fashionsnap の記事には、店の動線がもう少し具体的に書かれている。
客はミシンやアイロンを操る職人を眺めながら、食事ができる。食事のついでにお直しの相談を受けたり、お直しを頼んだ人が後日飲みに来たり。片側と片側のあいだに、行き来が自然と生まれている。
髙畠さんの言葉がもう一つ載っていた。
「お直しも飲食も両方本気。それが重要だ」
二刀流という言い方は、正確ではない。どちらかの片手間ではなく、両方が並んで立っている店、というほうが近い。
ミシンは12時、カウンターは18時から
同じ建物のなかで、二つの時計が別々に動いている。
公式サイトのショップインフォによれば、お直しの営業は 12 時から 19 時。カフェは、平日が 18 時から 24 時、土日祝が 14 時から 24 時。休みは毎週水曜で、これはカフェもお直しも共通だ。
平日の昼、ミシンだけが回っている時間がある。18 時にカウンターの灯りが入り、19 時にミシンが止まる。二つが同じ建物で重なるのは、平日はその 1 時間だけだ。土日祝はカフェが 14 時に開くぶん、重なりが 5 時間に伸びる。そして 19 時から深夜までは、コーヒーとワインの側だけが起きている。
メニューは、コーヒー、オーガニックワイン、パスタ、バーフード。18 時からはバータイムになり、チャージが 300 円つく。自由が丘.net によれば、自家製フルーツピューレを使った「香花 -kana-」(1,080 円) は、果汁 30% を台湾産の高級茶葉で割った一杯。パッションフルーツとジャスミン茶の組み合わせも選べる。ブランド苺と生乳を使った「いちごみるく」(1,080 円) もある。
なお公式サイトには「コロナの影響により営業を縮小しております。cafeはtake out のみとさせて頂きます」という掲示が残っている。掲載の時間どおりに店内で飲めるかどうかは、行く前に電話で確かめたほうが確実だ。
あの裏路地に
自由が丘を歩いていると、大通りの華やかさに目がいく。けれど一本入れば、住宅街の静けさがあって、その中に 18 年立ち続けている店がある。
ミシンの音を聴きながらワインが飲める場所は、そう多くない。
大通りの華やかさと、裏路地のミシンの音。18 年、両方を半分ずつ抱えてきた店だ。
また、夕方の光が好きな日に行こう。
訂正 (2026-09-22)
公開時、「営業は 14 時から 24 時まで」と一本の時間帯で書き、節見出しも「14時から24時のあいだに」としていました。公式サイトのショップインフォでは、お直しが 12 時〜19 時、カフェが平日 18 時〜24 時・土日祝 14 時〜24 時と分かれており、14 時開店は土日祝のみです。毎週水曜がカフェ・お直しともに定休であることも記載がありませんでした。該当節を書き直し、quick_facts を訂正しています。あわせて、同ページに残る「コロナの影響により営業を縮小しております。cafeはtake out のみとさせて頂きます」の掲示を本文に明記し、公式に裏付けのなかったテイクアウト時間 (14:00〜18:00) の記述は削除しました。