奥沢5丁目に、40分「何もしない」を買う一室
自由が丘駅から徒歩4分、奥沢5丁目のマンションの一室に、 服もメイクもそのままで40分だけ横になる部屋ができた。 エステでもフィットネスでもない、「何もしない時間」を買う場所。 7月7日、静かに開いていた。
40分、何もしない部屋
奥沢5丁目、自由が丘駅から徒歩4分の「IL CENTRO JIYUGAOKA」305号室に、7月7日、休息空間「NELU」が開いた。運営はNELU株式会社、代表は荻野正子。
コンセプトは「寝るだけで整う」。やることも、それだけだ。服もメイクも落とさず、温かい陶板ベッドに40分横になる。
エステでもフィットネスでもなく
街には、身体を整える場所が既にたくさんある。エステ、ヨガスタジオ、整体、フィットネスジム。どれも「何かをする」ことでコンディションを取り戻す設計だ。
NELUはそのどれでもない。施術者も指導者もいない。完全個室、無人運営、女性限定。予約から入室、退室までスタッフと顔を合わせない無人空間として設計されている。
「何もしない」を能動的に選ぶのは、都市生活では意外と難しい。休みの日でもスマートフォンを手に取り、静かにしているとかえって落ち着かない。NELUは40分という区切りと無人という設計で、この難しさを外側から解決する設計になっている。
室内には屋久島杉が使われ、壁には自然素材100%の珪藻土、海洋由来の天然鉱石「宙石」も入る。運営が挙げているのは、光・音・香り・湿度、そして水。五感を「ほどく」ための空間、という言葉がプレスリリースに使われている。ほぐす、ではなく、ほどく。結び目を解く方向のニュアンスだ。
原点は山梨、北杜市の一軒
NELUは自由が丘が初めてではない。原点は山梨県北杜市にある既存施設だ。そこでの体験から「まだ元気に過ごせている日常こそ、休息が必要」という考えが生まれた、と運営は語っている。
不調を感じる前に休む、という発想が業態の軸になっている。
奥沢5丁目という選択
自由が丘駅の南口を出て、住宅街へ数分。奥沢5丁目は駅前の賑わいから少し距離がある、静かなエリアだ。マリ・クレール通りの華やかさとも、駅北口の開発の勢いとも、少し違う空気がある。
そこに、40分だけ「何もしない」を買える部屋ができた。業態と立地が呼応している。
料金や営業時間、予約方法はプレス本文に記載がない。詳細は NELU 公式サイト に案内がある。
開いた、けれど気配は薄く
7月7日にオープンしたと書いたが、その日、奥沢5丁目が特別に賑わったわけではない。無人運営、完全個室、女性限定という構造上、外から「開店」の気配は見えにくい。プレスリリースが出たのは、開店から1週間後の7月14日だった。
静かに開いて、静かに続いていく類の場所だ。次に奥沢の方へ歩く用事ができたら、305号室の窓の明かりを、少し意識してみたい。