TEA HOUSE の名前だけが残っている — 三笠ビル地下、15 年の流れ
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街並み 読 2分

TEA HOUSE の名前だけが残っている — 三笠ビル地下、15 年の流れ

自由が丘駅から徒歩 2 分、三笠ビル地下の店。店名は今も「TEA HOUSE hyphen」。けれど今、扉の向こうにあるのは、紅茶専門店ではない。

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名前だけが残っている

自由が丘駅から、歩いて 2 分ほど。米粉パンの店の隣に、地下へ降りる階段がある。店名は「TEA HOUSE hyphen」。公式サイトも、その名前のままだ。

けれど今、その扉の向こうにあるのは、紅茶専門店ではないようだ。

15 年前の昼と、地下の奥行き

公式や当時の報道を辿ると、この店が三笠ビル B1 に開いたのは 2011 年のこと。店長は柴田恵美さん。スリランカの紅茶ブランド「ムレスナ」を専門に扱う店として、当時「23 区内初」の取扱店と紹介されていた。開業当初のコンセプトは「昼はランチも提供するティーサロン、夜はライブを楽しめるミュージックバー」。営業は 10 時から 17 時、ランチは 11 時から 15 時。キャラメルクリーム、ハワイアンベリー、フラワリーローズガーデン。フレーバーティーの名前が並んでいた、と聞く。

地下、と聞くと狭さを連想する。けれどこの店は、少し違うようだ。ある紹介文には「むかしのフランス映画の修道院かなにかのような漆喰の壁で囲まれた、アンティークな雰囲気」とある。想像以上の奥行きがある、と続く。アンティーク調のソファ、テーブル、そしてピアノ。開業当時、席は 20 席と数えられていた。いまは公式に「ライブ時 24 名、イベント時 30〜40 名」と幅を持たせて書かれている。数字の幅そのものが、この空間の柔らかさを映している。

昼が、流れた

15 年のあいだに、昼のティーサロンは、少しずつ流れていったようだ。今の公式サイトを見ると、営業は 19 時頃からのライブ、21 時頃からのバー、ライブのある日は翌 3 時まで。昼のメニューはもう並んでいない。電話番号も「現在使用しておりません」とある。問い合わせは公式サイトのフォームか、LINE。

変わった、と書くと切ってしまう気がする。流れた、のほうが近い。夜には、紅茶を混ぜたカクテル、ティーインフューズド・カクテルが並ぶ、と聞く。名前だけが残っているのではなく、たぶん、香りも少し残っている。

夜の音

出演者のカレンダーを覗くと、Sami Stevens の名前があった。ジャズも、そうでない音も並ぶ。19 時頃に始まって、ライブが終わったあとの深夜、扉はもうしばらく開いている。3 時まで、と公式にはある。深夜、という言葉は煽りにはならない。ただ、時間が長い、というだけのこと。

教えたい、けど

「TEA HOUSE」の 4 文字は、店名の頭に残ったままだ。書き換えられていない。それを、店の側の何かの意思として受け取っていいのか、私にはわからない。ただ、地下の階段を降りようとするとき、その 4 文字が名前の先頭に立っていると、15 年という時間がふっと厚みを持つ。

教えたい気持ちと、教えたくない気持ちが、半分ずつ。あの階段を、また夜に降りてみたい。